第一回市民公開サイエンス講座報告

 7月11日、津軽半島環境研究センター主催の第1回、市民公開サイエンス講座を開催した。最初に、挨拶に立った、青森中央学院大学教授の塩谷未知センター長は、サイエンスの意味について、自然科学、人文科学、社会科学の総称であり、この津軽地域の自然についての体系的知識を学んで頂きたいと結んだ。

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 この後、滋賀県立大学 理事の岩坂泰信総合センター長による、『津軽に吹く風を考える;適応戦略と言う言葉が生まれてきた温暖化対策』と題しての講義が行われた。
 特に温暖化の影響で、赤道の乾燥した空気が暖かくなってきて、海水温を高くしている現象が続いていると指摘ことや、日本という国の立ち位置として、偏西風の風を受ける事は、地球が自転している以上、運命的な事であり、西から東に偏西風の風が吹きくことは避けがたい事であり、西側に位置する国での出来事が、日本の国に与える影響は、避けがたいと言う認識が必要ということで、隣国の中国をはじめとした、北朝鮮・韓国の発展や汚染が、日本海の水蒸気を受けて、日本に降雨・多雪をもたらし、その中に含まれる物質に、いい物質と悪い物質や、ウイルス性の物もあると話した。
 金沢大学が能登半島の珠洲市で立ち上げた里山・里海自然学校の事例を紹介し、気球を飛ばし、上空から採取した微生物の中に、納豆菌を発見し、その後に地元の納豆業者と共同研究で、「空飛ぶ納豆」を販売した話しを紹介してくれた。
 中央アジアにあるタクラマカン砂漠・ゴビ砂漠で巻き上げられた砂は、ジェット気流に乗り、中国の重慶などの工業地帯の上空で、金属製の有害な物質を含み、それが最近日本で、PM2.5という発がん性の高い公害物質となっているメカニズムや、赤道で温められた海水が、日本海近海の、黒潮・対馬暖流をつくり、最近、日本国内でも異常気象の現象として、ゲリラ豪雨とか竜巻などの事故が続いていると指摘した。

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 また、青森県内の白神山地で起きている白神ライン・赤石渓流線の道路の通行止めの新聞記事を紹介しながら、のり面の土砂崩れが、最近の降雨や多雪と共に、雪質の変化で、金沢市や北陸の雪の様に湿っぽくなってきて、今までと雪量は変わらなくても、雪質が変わり、その重みで、のり面や道路が耐えられなくなっているのではないかと指摘した。
 安易な作業での復旧では、また春の雪解け水で流されてしまうことが続くとも指摘した。

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 新聞に取り上げられた記事でも白神山地に春を告げる県道28号線(別名 白神ライン)はと、町道、赤石渓流線は、毎年5月25日開通が、年内は全面禁止で、地元観光業者は、一日も早い復旧を望んでいるが、きちんとした調査が必要と結んだ。白神山地は、隆起した地質からなりたっている。
 白神観光を考えると、一度、今の道路事情、のり面等が、温暖化が進む中で、このままで耐えられるものかどうか、一度、調査・検討することが必要と述べた。

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 最近の火山の噴火・地震の多発化・ゲリラ豪雨・集中豪雨の多発化・そして土石流の発生・台風の多発化・竜巻の発生等々、自然災害が日本だけではなく、世界各国・各地で起きている。
 地球という有限な環境の中心部、つまり地殻で何かが起きているのではないかと、心配になる。安心した観光や道路利用を考えた場合、一度、今間までの道路基準というもので、今のこれらの自然災害が耐えられるものなのか検討すべきであると結んだ。
 この日参加した参加者は17名、講義終了後、センターでモニターリングとして取り付けられた風速計と、降雨系の観測機器を見学し、今回の講義を終了した。次回は8月8日第二回が予定されている途中からでも参加は可能なので、多くの方々に地元の環境を専門家から聞く機会なので、是非、参加をしてもらいたいと思います。

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