市民公開サイエンス講座2016

日 時: 平成28年8月20日(土) 9:00~12:00
場 所: 五所川原市中央公民館
五所川原市一ツ谷504-1 電話: 0173-35-6056
テーマ: 「津軽半島地域における大気の今の状況」
講師 弘前大学大学院理工学部研究科教授 小林史尚氏

 今回、この講座を、滋賀県立大学の岩坂泰信 理事で実施する予定でしたが、急きょ大切な用事が入り、今年の4月から弘前大学に新しく新設になった、弘前大学大学院理工学研究科の小林史尚 教授が代行を行った。小林先生は、金沢大学出身で、岩坂先生の元でも研究をした経緯があります。特に、2012年より第54次南極観測隊に参加をし、大気バイオエアロゾル研究で参加をして、3013年に帰国しています。専門分野は、生物資源利用工学、大気バイオエアロゾル学、生物資源変換学となっています。
 まずこの日は、自己紹介を通して、まだ4月に大学に来たばかりで、青森県の冬を経験していないという話しと、南極の観測の話し、岩坂泰信先生との関係をお話しされました。
 特に、最近、黄砂のサンプリング調査が増えている話しをされ、日本に来ている黄砂は、タクラマカン砂漠を起源として発生し、「イエローダスト」「KOSA」という呼び方で、定着している旨の話をされました。
 よく聞かれる話しで、地球温暖化が進むと、砂漠化するという話しがありますが、世界的にもその傾向が増えてきており、黄砂と聞くと、日本では北九州とか西日本が影響を受けているというイメージであるが、最近は、偏西風の蛇行の変化により、北海道にも黄砂が発生してきているという事が紹介されました。
 おそらく、西日本に飛んできている黄砂と、北海道に飛んできている黄砂の成分分析が必要で、どういうコースを飛んできたかが、わかってくるという話もされました。
 また、専門の生物工学の観点から、黄砂バイオエアロゾルに含まれている生物粒子を調査する必要性を話すと共に、当然落下すれば増えていく事は間違いないと言われ、当然動植物に影響を及ぼす事にもなり、鳥インフルエンザ学会も、この黄砂についてはとても関心を持っている話しもされました。
 特に黄砂の成分はたくさんありますが、発がん性のがある黒カビ(麴かび)は700m~2000mを飛んでやってくる。待機観測がとても大事で、青森県内上空でも250m~1000m程度で近い将来観測が必要と考えている。特に一般的に知られているのは、黄砂に乗って微生物に、センチュウ(線虫)がある。細長い虫で、松くい虫とも言われ、松についたり、農産物に入ったりして厄介な虫でもある。最近、白神でもブナ枯れが起きていると聞くが、その原因がこのセンチゥなのか調査が必要と考えている。とも話していました。マダラカミキリはセンチゥが運ぶとされているそうです。また、ネコブセンチュウは、メロンやスイカ、トマト、カーネーションなど様々な作物の根に寄生し、根の中に卵を産み付けることにより、土壌中で爆発的に増加します。写真のようにひどい場合は、当然収獲は絶望的で、次第に枯れていきます。恐ろしいことになります。
 因果関係ははっきりしていませんが、相関関係では、黄砂が来ている時に、疫病が増えるということらしいです。その意味では、人間の健康に与える影響調査が必要と話しをしてくれました。

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センチゥ

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ネコブセンチュウで枯れる野菜の根

  今回、岩坂泰信先生のサイエンス講座は実施できませんでしたが、岩坂先生は10月2日(日)同じ時間帯で、市民サイエンス講座を実施することになりましたので、引き続き、ご参加頂きますようにお願い申し上げます。

第2回市民公開サイエンス講座のチラシ