第三回市民公開サイエンス講座報告

今回、10名が参加し、西目屋村のブナ林をまたぎの大谷石捷さんの案内で歩いた。
大谷さんは、父親の大谷石之丞さんの次男坊で、小さな時から、山に連れられていき父親指導の元、またぎの心得を聞いて育った旨を参加者に説明してくれた。

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石捷さんは、我が家はまたぎで生計をたてて自分たちを学校までやってくれた家系であるとかたってくれた。
学校にいくと、あだ名が「またぎ」で、少し恥ずかしい思いをしたこともあったが、今は父親を尊敬していると話しをしてくれた。
父親は、槍一本で76頭ものツキノワグマを捕った。本来1人マタギで知られる赤石マタギも、仲間で行ったときは、熊を捕ると、その分分け前をするので自分の量は少なくなるなど、エピソードを交えて狩りの話しや、山菜の見分け方を教えてくれた。

熊一頭は、胆のうは30万円前後、熊のなめし皮が20万円、肉がキロ5000円だとも話してくれた。今は、キロ8000円とも聞き、松坂牛よりも高いと、参加者に説明して、皆どよめいていた。
マタギは熊だけではなく、山・川・海から、恵みを得て来る。その時は必ず、守らなくてはならないルールを父親からおそわったと教えてくれた。

一つは、弁当とけがは 自分持ち
二つは、足元を見手から遠くを見ろ
三つは、山ではじゃけるなぁ(ふざけるなぁ) である。

この掟を遺言と思って、今も守っていると話してくれた。

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また、白神山地は、昔より雨の降り方が変わってきた。降る時は暑中して土砂を荒い流すように降るとも語った。津軽ダムのダム湖をみて、湖底が丸見えで、雨が降らないのでこういう状態だと語り、渇水が続いて農業関係者は大変だと語っていた。また、白神の山も温度が高い日々が続くようになったと語り、昔はそうではなかったと話してくれた。マタギが語る、自然界の変化は、「どんどん熊も増えていくような気がする」「最近、白神山地でもニホン鹿が増えてきているのも、気候の変化の影響かもしれない」という一言は、なるほど、そうかもしれないと、思わせるものだった。

今回は、マタギによる白神山地の変化を直接、ブナ林を歩きながら説明を受けた。

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その後、参加者は白神自然学校に行き、「東北の聖地」という番組で、大然地区にある大山祇神社のことが放映された。テレビ局会社から送られてきたビデオを全員で鑑賞した。
ここにある標柱側面にはマタギの記念銘が刻まれていて、「マタギとは熊狩り等をする人のことで、赤石川沿いの一ッ森村・大然村のマタギ集団を昔から赤石マタギといった。大正10年(1921)に建立されたこの社標の側面には、大正3・4年に大熊6頭を狩った記念として」と当時のマタギの名が刻まれている。裏面には、藩政時代以来のマタギの名が刻ざまれている。神社前の一帯が大然村の集落であったが、昭和20年3月(1945)の夜中の鉄砲水により消滅した地域でもある。その後には、追悼の石碑も建っていて、まさに白神山地入山の際のパワースポットにもなっている。